実物大のエヴァンゲリオンを富士急ハイランドに出現させたい!

宮尾 もともと、『エヴァンゲリオン実物大初号機建造計画』(ヱヴァンゲリヲン:ワールド)の企画はオフィシャルではなく、僕の中で温めていたものだったんですね。2010年夏にオープンするアトラクションの企画は2009年の段階で2つ候補があり、実現に向けて準備を進めていたのですが、その2本の企画が相次いで不採用になってしまったのです。そこで、改めて「2010年夏のアトラクションはどうする?」という話になったときに、実はこういう企画があって、版権元にもある程度は話は通しており、先方も乗り気になっているという背景を話しながら、ヱヴァンゲリヲン:ワールドの企画を提案しました。
この企画をやろうと思ったきっかけは、お台場の実物大ガンダムを見たときでした。見てもらうだけの施設でも、これだけの人が呼べるのか?という驚きが出発点です。富士急ハイランドにはすでにガンダムはあるので、それとの相乗効果を期待できるものとしてエヴァンゲリオンしかないと僕の中では決めていました。それから、決め手は、当時爆発的な人気と集客で話題を集めていた劇場版の『破』を観終わったときに、次回作のタイトルが『Q』と出たことです。「Q」といえば、「富士Q」の「Q」ですよね?これは浅からぬ縁があるのではないか?ということも、版権元に伝えました。先方でも、実物大で再現するという企画は初めてだったようで、好感触を得ることができました。最終的にすべてのGOサインが出たのは、3月ですね。役員会でプレゼンをするために、模型も作り「ファンは、こういうのを見たいんです!」と力説しました。もともとアトラクションではなく、展示だけで人を呼べるのか?と半信半疑だった社内も、最終的に説得することができました。

金児 私は、2010年の4月に企画部に配属になり、宮尾課長の下で働くことになりました。いきなり、テレビシリーズと新劇場版の『序』のDVDを渡され、「これを全部見ろ」というところからのスタートでした。幸い、エヴァンゲリオンの世界にどっぷりとはまることができ、エヴァの魅力がわかってきました。私の担当は、グッズ作りだったのですが、グッズも作りようによっては売れるものができるのではないか?という自信も生まれてきました。エヴァンゲリオンのショップに行き、どんなグッズが売れているのか?どんな客層なのか?といった調査もしましたし、箱根の中学校の体育館で開催された特別上映会にも宮尾課長と一緒に伺いました。見ている限り、30歳を超えた大人から、高校生まで幅広い年齢層に愛されていることがわかったのですが、若い女性のファンが多いのも勉強になりました。実は、エヴァンゲリオンのグッズはすでに出回っており、富士急ハイランドのヱヴァンゲリヲン:ワールドで販売するグッズは、富士急らしいもの、富士急ならではのもの、という版権元からの要請がありました。どんなものがいいのか?どんなものがファンに喜ばれるのか?試行錯誤しながらたどり着いたのが、「富士急ハイランドで初号機を見てきました」という文字と実際の初号機の写真が入ったカステラや、大人のファンが多いということで、ブロックメモやマウスパッドなど普通に会社で使えるもの、それから若い女性が多いということが分かったため、シュシュなども企画しました。シュシュに関しては、そんなもの売れないよ、といわれたのですが、「絶対に売れます」と説得して、販売にこぎ着けました。

宮尾 企画が通り、ヱヴァンゲリヲン:ワールドの建設が始まったのですが、4月末の箱根でのイベントが話題になり、また新劇場版『破』のDVD、ブルーレイが発売され、ブルーレイディスクの売り上げが史上最高を記録したことなどもあり、急に社内のみなさんの見る目が変わってきたんです。さらに、株主様用のレポートに初号機建造計画の告知をしたところ、株主さんからの問い合わせが急増し、さらに期待感が高まってきたのを感じました。それがプレッシャーと感じたこともありましたね。実物大初号機そのものの製作も、試行錯誤の連続でした。エヴァンゲリオンの造型は曲面が多く、立体化するのは難しいな、と感じていたのですが、幸いにもアニメ製作現場でイメージを共有するために3Dのモデルを使っていたということで、そのモデルを版権元からお借りしてスケールアップしていきました。まず、1/50のスケールのモデルを作り、さらに1/30のスケールで作り、実際にその場にいたらどう見えるかをCCDカメラを使って検証し、版権元にも見てもらい、拡大するとのっぺりしてしまう部分には筋やマーキングを入れるなど、ディテールを工夫しました。初号機で特徴となる紫色もつやあり・なし、濃淡など10色以上検討して決定しました。スケールが大きくなり、面が大きくなると薄く見えるんですね。そういう部分を考慮し、さらに現場の照明と同じ条件を作って検証しながら色を決めていきました。

渡邊 私は、富士急ハイランドの総務部採用担当としてヱヴァンゲリヲン:ワールドのスタッフの採用活動を担当しました。現場と企画にどれくらいの人が必要なのかを聞きながら、だいたいの目安をつけていきました。特に最初はお客様がどっと押し寄せる可能性があるので、多めに採用してくれと言われていました。さらに、オープニングが近付くにつれ、問い合わせも増えてきて、毎日エヴァのことを話さない日はないという状況になってきました。採用の際には、「エヴァンゲリオンが大好きなんです!ぜひ働かせてください!」と直球で来る人が多かったですね。「昔から好きで見続けてきたが、地元でこんな職場ができるとは夢にも思わなかった」というような人もいました。もちろん、採用に当たっては、通常のスタッフ同様、接客ができて、受け答えがしっかりできて、元気のある人という採用基準は変えませんでしたが、その中でもエヴァンゲリオンの知識も重視しながら採用しました。結果として思い入れの強いスタッフで固めることができ、売店で「こういうのないの?」というようなお客様からの質問にも的確に対応でき、さらに「こんな商品が求められている」といったような情報を報告してくれるような人を集めることができました。
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